言葉にできない
2006年 11月 01日
東野圭吾の「手紙」を読みました。映画化が決定した時、内容を知って読みたいと思っていて、妹のブログに感想が書いてあったので、買って読んだ。東野作品らしく、あっという間に読み終えた。感想は・・・
午後10時前の総武線の中でボロッと涙が出てしまった。
弟を大学に行かせたいがために、その学費のために盗みに入って、謝って殺人を犯してしまった兄。盗んだ後、すぐに出ればよかったのに、ダイニングテーブルの上にあった天津甘栗を見て、弟の好物だと思い出して取りに行ったことが命取りに・・・。
大金盗んだんだから、買えばいいのにと思うのは普段から買える境遇にある人間の思うことで、「買って食べる」ということが日常にないからそういう状況でも取りに行ってしまって、それが感じ取れて胸がつまった。
物語の中で、弟は進学もバイトも就職も恋愛も「強盗殺人者の弟」というレッテルで、ことごとく進めるべき道を断たれます。刑務所から届く封書を呪縛のように感じて、しかし自分のために罪を犯した兄を責めることもできず・・・。あまり書くとネタバレになってしまうのでかけませんが、弟の会社の社長の言ってることは長く生きてきた経験者だからこその重みがあります。
正々堂々と生きるというのは、実は楽な道だと。本当に憎んで鬼になるならたやすいですが、鬼にならざるを得なくて鬼になるのはたやすくはない。正義も自尊心も良心も切り捨てて、守るべきもののために鬼になる心境は、血の涙を流すことだと思う。(でもその割りにラストのあっけなさにはちょっと盛り下がってしまったけど)
涙が流れたのは、弟が最初に社長に会った時に渡された手紙。この話は「手紙」がキーポイントになるのですが、実は泣けたのはここだけ。本当に相手を思う、その思いの強さが手紙という形になって昇華されていました。そこの一文でぽろぽろ泣けました。
映画の主題化が、織田和正の「言葉にできない」。
あなたに会えたことが本当にうれしくて嬉しくて言葉にできない
あなたに会えてほんとうによかった
いつも最良の道を選べるわけではないけれど、最後にそう思えればいいと思う。
午後10時前の総武線の中でボロッと涙が出てしまった。
弟を大学に行かせたいがために、その学費のために盗みに入って、謝って殺人を犯してしまった兄。盗んだ後、すぐに出ればよかったのに、ダイニングテーブルの上にあった天津甘栗を見て、弟の好物だと思い出して取りに行ったことが命取りに・・・。
大金盗んだんだから、買えばいいのにと思うのは普段から買える境遇にある人間の思うことで、「買って食べる」ということが日常にないからそういう状況でも取りに行ってしまって、それが感じ取れて胸がつまった。
物語の中で、弟は進学もバイトも就職も恋愛も「強盗殺人者の弟」というレッテルで、ことごとく進めるべき道を断たれます。刑務所から届く封書を呪縛のように感じて、しかし自分のために罪を犯した兄を責めることもできず・・・。あまり書くとネタバレになってしまうのでかけませんが、弟の会社の社長の言ってることは長く生きてきた経験者だからこその重みがあります。
正々堂々と生きるというのは、実は楽な道だと。本当に憎んで鬼になるならたやすいですが、鬼にならざるを得なくて鬼になるのはたやすくはない。正義も自尊心も良心も切り捨てて、守るべきもののために鬼になる心境は、血の涙を流すことだと思う。(でもその割りにラストのあっけなさにはちょっと盛り下がってしまったけど)
涙が流れたのは、弟が最初に社長に会った時に渡された手紙。この話は「手紙」がキーポイントになるのですが、実は泣けたのはここだけ。本当に相手を思う、その思いの強さが手紙という形になって昇華されていました。そこの一文でぽろぽろ泣けました。
映画の主題化が、織田和正の「言葉にできない」。
あなたに会えたことが本当にうれしくて嬉しくて言葉にできない
あなたに会えてほんとうによかった
いつも最良の道を選べるわけではないけれど、最後にそう思えればいいと思う。
by KinichiM
| 2006-11-01 01:48
| 本